優しかった祖母が亡くなった。
3年ほど前から心臓が悪く、手術したとしてもよくならないし、むしろ手術の負担が大きくて体が耐えられないという理由から、内服薬でコントロールする生活だった。
私達の家族は「機能不全家族」と言える状態の時期があった。
祖母は優しいから家族に八つ当たりされることも多かったし、お金を貸す(もちろん返してもらえない)ことも多かった。
私はそんな祖母を守りたかったけど、守れなかった。
私も情緒不安定になりイライラすることも多く、情けない話、私も祖母に強くあたってしまったり、意地悪を言ったことがある。
どうしてあんなこと言ってしまったんだろうと後悔しかない。
介護はプロに任せる
私が罪滅ぼしの意味も込めてやってあげられることは、安全で身の回りのケアをきちんとしてもらえる病院や老人ホームに入れてあげることだと思った。
祖母に家族に迷惑をかけていると思わせたくなかったし、罪悪感をもってほしくなかった。
また、私達家族は経済的にも時間的にも十分なケアができないのが目に見えていたし、介護疲れの果に祖母を嫌いになってしまうのも絶対にいやだった。
療養型病院や老人ホームの職員さんには、とても良くしていただいたし、私も何度か面会に行ったときには元気な笑顔も見れたので、入所させたことは後悔していない。
延命治療をしない選択
祖母は人工呼吸器もなしで、自分の力で最後まで呼吸して心臓を動かしていた。心臓が限界を迎えて、自然に息を引き取った。
顔をしかめたり、苦しむ表情もなく、眠るように亡くなった。
こんなふうに送り出せて本当に良かったと思っている。
死は怖くない、覚悟さえあれば
祖母がもうそんなに長くないとわかったころは、心配と不安で夜も眠れなくなるほど落ち込んだ。
死ぬときってどんな風になるの?
祖母にはこれからものすごい苦痛が訪れるの?
どうしたら苦痛から助けてあげられるの?
私はどうしたらいいの?
こんな感じで、軽いパニックになっていた。
祖母に苦しんでほしくないから医療用麻薬や鎮静についても調べたるほどだった。
結局祖母の命を小細工できるわけもないのだから流れに身を任せるしかないのだけれど、とにかくなんとかしたくて毎日悩んでいた。
祖母の死を迎えてみて思うのは、死は自然で全く怖くない。よっぽど生きてるほうが恐ろしいということだ。
私にもいつかはやってくる「死」。
自分に言えるのは、そんなに怖がらなくてもいいぞ、ただ覚悟だけしとけってことかな。