ドキュメンタリー映画「ボケますからよろしくお願いします」を見た。
だんだん認知症が悪くなっていくお母さんと90代後半のお父さんのお話。
お母さんは何度も自分を責めていた。
なんでわからんようになったんかね、なんでかね。
あーわからん。ほんまにわからん。どうしたかね。
どんどんわからなくなってしまう自分に対する苛立ちや不安からなのか、怒って家族に当たり散らすシーンがある。
誰か助けてください!誰か!包丁持ってきてくれ!包丁!もう死んじゃる!死にたい!!
ここのシーンは見ていて辛かったな。
涙が止まらなかった。
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大変な状況の中でも、鬱々とした空気を感じないのは、魅力的なお父さんの存在が大きいのかもしれない。
お父さんを見ていて私が感じたこと↓
・覚悟がある
生きる覚悟、死ぬ覚悟。
お父さんの言葉「人間は元来ひとりで生きてひとりで死ぬ思うちょりますけん」がすごく好き。
・目の前の事実をそのまま受け入れる
お父さんは結構「しょうがないけんのぅ」と言う。これは投げやりな感じではなく、受け入れる感じ。
「運命(さだめ)じゃわ」ってさらっと言えるところがかっこいい。
・落ち込まない、悲観しない、ニュートラル
お母さんが泣いたり喚いたり大変な状況の中でも、新聞を読んだり、鼻歌を歌ったり、英語の勉強をしたりしているお父さん。
気が滅入ってしまってもおかしくない状況なのに、しっかりと自分の人生を生きている。
映画を見てから、人生や幸福についてさらに考えるようになった。
養老孟司先生の「人だけに幸せをかけると危ない」という言葉や、ショーペンハウアーの幸福論は助けになっている。
幸せは自分自身から受け取る、自分自身に備わったもの、内面の豊かさ、健全な身体に宿る健全な精神が1番大切だということ。